しかし、「長年にわたり資本市場の育成に尽力してきた日本の思いは、ミャンマー側にも確かに通じていた」と平松氏は指摘する。
実際、2015年1月に日本を訪問したマウンマウンテイン財務副大臣は、日本政府関係者との面談の中で、「希求の時の友こそ真の友(friend in need is friend indeed)」という表現を用いて、22年にわたる日本への謝意を繰り返し口にしたという。
さらに、それからまもなく、ミャンマー政府はティラワSEZ内の保険市場の営業免許を日系の大手損保3社(損保ジャパン日本興亜、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険)に与えたことも発表している。
両国の絆の象徴とも言える事業を率いる平松氏に、将来の目標を尋ねてみると、「今からさらに10数年後、日本とミャンマーの合弁会社が証券取引所に上場しているのを見て、“自分がこの礎を築いた”と思えたら最高ですね」という答えが返ってきた。
クールな見かけと裏腹に、熱く語られたその言葉は、22年間関わってきた両国の関係者たち共通の願いであるに違いない。決意に満ちたまなざしが、一瞬、きらりと輝いた。
(つづく)