米国の市場調査会社、IDCがこのほどまとめた世界のパソコン市場に関する最新のリポートによると、この市場は長期的に見れば安定化の方向に向かっている。だが、今年(2016年)の出荷台数は2億6090万台にとどまり、前年比で5.4%減少する見通しという。
2012年以来続く需要低迷
これに先立ち、同社は昨年1年間の世界パソコン出荷台数が2億7620万台となり、前年実績から10.4%減少し、過去最大の落ち込みとなったと報告していた。
今回のリポートによると、パソコン市場は2012年の初頭以来低迷しており、今年も引き続き市場は振るわないという。同社はその根拠として、物価の下落、各国の通貨安、Windows 10の無償アップグレードによる買い替え周期の長期化、流通チャネルの在庫整理などを挙げている。
またこれに加え、ファブレットと呼ばれる大型のスマートフォンや、より画面が大きくなり、パソコンの代替機として台頭してきたタブレット端末との競争も影響していると分析している。
「iPad Pro」や「Surface Pro」が台頭
このうちタブレット端末は、その市場を全体的に見ると出荷台数が減少傾向にあり、パソコンとの競争はかつてほど激しくなくなった。
だが、米アップルの「iPad Pro」や米マイクロソフトの「Surface Pro」などの着脱式キーボードを備えるタブレット(デタッチャブル型)が出荷台数を2倍に伸ばしており、パソコンの買替え需要を低下させているという。
ただ、これらデタッチャブル型タブレットの出荷台数はまだパソコンの6%未満にとどまっている。