北朝鮮が、長距離弾道ミサイルの疑いがあるとされているローンチ・ビークル(launch vehicle、打ち上げ機)を発射する可能性があるとして、防衛省敷地内にPAC-3発射装置が展開されたのは1月29日であった。
引き続きイージス駆逐艦3隻も日本海と東シナ海で迎撃態勢をとるために出動し、北朝鮮が予告した飛翔ルート沿いの石垣島と宮古島にもPAC-3部隊が配備された。
北朝鮮は“事実上の長距離弾道ミサイル”を発射した後、ロケット発射通告を解除したため、日本政府は自衛隊に発令していた「破壊措置命令」を解除し、3隻のイージス駆逐艦ならびにPAC-3部隊を撤収させた(ただし日本政府は、北朝鮮がノドンやスカッドといった弾道ミサイルを発射する可能性は否定できないため、警戒監視活動は継続するとしている)。
今回の日本での騒ぎに対して、少なからぬ米軍やシンクタンクのミサイル戦専門家たちは次のような疑問を呈していた。
「日本政府は“ミサイル”に対する“破壊措置命令”を自衛隊に下命したが、PAC-3の段階ならばともかく、イージスBMDで迎撃すれば北朝鮮側に『日本による先制攻撃』といった対日非難の口実を与えることになる。さらには、報復と称してスカッドなどを打ち込んでくる可能性も考えられる。そのことへの防御態勢を万全にしているのか?」
たしかに日本政府のミサイル防衛態勢には疑問符をつけざるをえない点が少なくない。