横須賀を母港とする米海軍空母「ロナルド・レーガン」(出所:Wikipedia)

 アメリカ海軍は2016年2月時点で10隻の航空母艦(すべて原子力空母)を運用している。それらのうちの5隻が太平洋艦隊(司令部ハワイ、オアフ島)に所属しており、2隻がサンディエゴ、1隻がエバレット(シアトル郊外)、1隻がブレマートン(シアトル郊外)、そして1隻が神奈川県・横須賀を母港にしている。

 米海軍空母10隻のうち、横須賀に配置されている1隻だけが“外国”に母港があり「前方展開空母」と呼ばれている。ちなみに横須賀を母港にする空母は、やはり横須賀を本拠地にする第7艦隊の指揮下に入ることとなる。

 このほど、アメリカの民間シンクタンクによる米軍のアジア太平洋戦略に関する検証レポートが、「前方展開空母を2隻に増加するべきかどうか」に関して言及した。アメリカ連邦議会が公聴会を開いてこの問題を取り上げたことをきっかけに、アメリカ海軍関係者の間で突っ込んだ議論が始まった。

中国海軍の“本格的”空母出現に備える

 前方展開空母を1隻でから2隻に増やそうというアイデアが浮上したのには2つの理由がある。

 第1の理由は、中国海軍が近々手にする“本格的”空母に対抗するためである。