ワシントンDCのシンクタンクで講演したアメリカ太平洋軍司令官ハリス海軍大将は、南シナ海での「FONOP」(公海航行自由原則維持のための作戦)を続けることを明言した。
同時に東シナ海での緊張状態にも言及し、個人的見解としながらも「もし尖閣諸島が中国によって侵攻されたならば、我々はそれらの島々を防衛することになる」とも発言した。
アメリカ軍は「自動的」に反撃するわけではない
ハリス提督の発言を受けて、日本のメディアは「『中国に攻撃されれば尖閣守る』米軍司令官」「『中国が尖閣諸島を攻撃すれば日本を防衛』ハリス米太平洋軍司令官」「『中国から攻撃あれば尖閣を守る』米軍司令官が言及」などといった具合に、中国人民解放軍が尖閣諸島に侵攻してきた場合には、あたかも自動的にアメリカ軍が中国軍に対して反撃を実施するかのような印象を与える報道をしている。
本コラムでも何度も触れたように、ハリス司令官を筆頭とするアメリカ太平洋軍(太平洋艦隊、太平洋海兵隊、太平洋空軍、太平洋陸軍、太平洋特殊作戦軍など)関係者たちは、尖閣諸島に限らず日本の領土が外敵の侵攻を受けた場合、彼らのいずれかの部隊が救援に駆けつける可能性があることは十二分に想定している。そして、沖縄や横須賀をはじめ日本に赴任する将兵たちには、万一の場合には日本防衛戦に投入される覚悟が求められているのも事実である。