米国ではガソリン価格などの下落で個人消費が伸びても、エネルギー部門のマイナスを吸収できないでいる(写真はイメージ)

 2月1日の米WTI原油先物価格は大幅反落し(1バレル=31.62ドル)、今年最長の上昇局面となった先週の上げを帳消しにした(2日の原油価格は米在庫の増加観測で同30ドル割れした)。

 先週から「原油安阻止に向けて全産油国が生産量を一律に5%削減する」との期待が市場関係者の間に広まり、原油価格は1バレル=26ドル台から同34ドルを超える水準に達していた。だが、産油国が減産に合意するとの期待は後退してしまった。

40ドル超に上昇するとの見立てだったが・・・

 かつてリーマンショック直後の2008年12月に、イラクを除くOPECの11カ国(当時)が420万バレルの減産で合意した。すると、1バレル30ドル台まで下落していた原油先物価格がその後半年間で70ドル台まで上昇したという経緯がある。

 今回の場合、まず日量約1000万バレルの生産量を誇るサウジアラビアとロシアが5%の原油減産を実施すれば、合計100万バレルの供給が減少する。この量は、欧米の経済制裁を解除されたイランが今後増産する規模に匹敵する。さらにイラン以外の加盟国も減産に応ずれば、200万バレル程度を削減でき、150~200万バレルと見られる現状の過剰供給を吸収できる計算だ。OPECと非加盟国の協調が成果を挙げた例は過去にないものの、成功すれば原油価格は1バレル=40ドル超に上昇するとの見立てだった。