「政府の主要な政策に同意できないので辞任した。自分自身に、自分の政治的姿勢に、自分の戦いに忠実であることを選択した」
こうタンカを切って、フランスのクリスチャーヌ・トビラ法相が1月27日、辞任した。
ヴァルス首相はテロ対策の一環として、フランスとアルジェリアなど他の国との2重国籍を持つテロ実行犯、「イスラム国(IS)」やアルカイダへの参加者、いちど参加したけれども失望して帰国した者、ISやアルカイダへの参加者を手助けした者などからフランスの国籍を剥奪する政策を打ち出した。トビラはこの「国籍剥奪」というテロ対策に反対していた。
27日午後からは、国民議会(下院)の法制委員会で「国籍剥奪」の法制化に関する審議が行われることになっていた。2月初旬からは国民議会、次いで上院で審議が開始されるので、法制化に反対する立場としてその前に辞任するのは当然といえる。本来、法相は法制化を擁護する立場でなければならないからだ。
「総括主義者で何事も決めない人」といわれるオランド大統領がなかなか決断を下せないでいたので、トビラがしびれを切らせて27日朝、辞表を提出し、受理されたというわけだ。