組織横断のコラボレーションが「生産性アップ」につながる理由を、吉田氏はこう語る。
「最も大きいのは、対応のスピードが上がることです。これまでは営業窓口がクライアントから要望を受けても、自分の担当分野ではないために『持ち帰って後日回答します』ということがありました。それが、いろいろな部門が並行してクライアントと関わることで、承認プロセスや伝達する時間がなくなり、専門の社員がより早く対応できるようになりました」
ただし、多くの人を巻き込むと、対応が混乱するおそれがある。また、会議やクライアント打ち合わせの日程が整わず進行が遅れることにもなりかねない。そこで同社では、社員全員が「Skype for Business」によるビデオ会議やチャットを使うことで、「いつでもどこでも誰とでも連絡がとれる体制」をとったのだという。
ビデオ会議やチャットを取り入れるのは、近年では決して珍しいことではない。問題は、それをどこまで社内で当たり前のように使ってもらえるかである。「クライアントの要望に応えるには、みんなで使わざるをえなかったのです」と吉田氏。改革を進めるうえで、クライアントの要望は大きな推進力となったようだ。
クライアントとの打ち合わせでもビデオ会議を活用
ビデオ会議やチャットなどのコミュニケーションを一般化したことは、「旅費・交通費」の20%削減にもつながってくる。
「もちろん顔を合わせるのがコミュニケーションとしてはベストです。けれどもそれにこだわりすぎて日程が後ろにずれたり、話す機会が減ったりするのは避けなければなりません。当社では思い切って、情報共有のミーティングや朝の部会などは1つの場所に集まるのではなく、Skype for Businessなどで済ませるようにしました。それが旅費・交通費の削減になりました」
また、以前は出先から会社に戻らないと1日の業務が終わらなかった。しかし今は、最新の情報をSkype for Businessで共有しつつ、出先から電話会議などをして済ませているという。