クライアントとの打ち合わせでも、ビデオ会議などを活用することで、さまざまな部門の社員が遠隔地から参加できるようになった。それにより、各部門の社員がその場で専門的な質問に答えられる。旅費・交通費の削減と顧客満足度の向上が、まさに一体となって進められたというわけだ。

全社的な施策で女性社員の離職が減った

 ビデオ会議やチャットなどを使った“時間と場所にとらわれない働き方”は、「女性離職率」の40%ダウンという成果ももたらした。

 確かに「その時の仕事に合わせて社内外のどこにいてもいい」という働き方ならば、子育て中の女性の負担は大きく減るだろう。

 日本マイクロソフトでは、ワークスタイル変革を進める中で、ICTを活用したテレワーク(場所と時間を選ばない柔軟な働き方)が有効だと感じ、全社を挙げて推進していた。育児や介護など個人の家庭の事情と仕事のバランスを補完する在宅勤務などに加えて、全社員が業務状況に応じて、効率よく生産性を高める働き方である。

 女性のための特別な施策ではなく、福利厚生の一環でもない。だが、それが結果的に女性離職率の低下につながったという点は注目に値する。

 そして、この働き方の実践を実現するための環境づくりが一層重要になってくるというわけだ。

成功体験が変革を進めることに

 日本マイクロソフトのワークスタイルの変革は、チャットやSkype for Businessなどでのビデオ会議を日常的に行うことが、成功のポイントになった。

 一方で、「IT企業のマイクロソフトなんだから、そういうツールを使いこなせて当たり前だろう」と考える人もいるだろう。