理系をエンターテインメントにするカナダ
翻って理系についてはどうでしょう?
クルーグマンよりははるかに専門性は落ちますが、話題性に富むものとしてカナダのTEDが挙げられるでしょう。
TEDはテクノロジー・エンターテインメント・デザインの略で、興味深いアイデアを持つ人本人を有名無名問わず招いて約1000人の聴衆が聴く公演会です。内容が編集されネットで世界公開されることでブランドを作りました。
1つリンクしておきましょう「やる気に関する驚きの科学」というお題、いかにも人の気を引きますね。こうやってファンドレイズにも直結する情報発信を専門家自身がやっているわけです。
ちなみにライブで聴くためには年会費約100万円(8000ドル)を支払う必要があります。100万で1000人限定ですから基本年10億で回している。
大きな規模とは言えませんが、それほど小さいというわけでもない。少なくとも数人、一流のスタッフを専従で抱えることができますから、十分国際的なプレザンス、存在感を示すことができます。
(JBPさんとは、ご創業以前からの長いご縁ですが、これからこういうこともやって行こうと考えていますので、ぜひご一緒いたしましょう)。
古い話になりますが2004年、39歳だった私は国連の「世界物理年」という行事で日本委員会の幹事として手伝わされることになりました。こういう雑用は業績にならない、と誰もやりたがらないので、私など一部30代、大半は60代というメンバー構成でした。
何度も書く話ですが、ジェリー・フリードマン、スティーヴン・チュー、楊振寧といった名だたるノーベル賞受賞者の物理学者を招いて国際行事を担当することになったのですが、官製のプログラムとして出てくるものがあまりに陳腐でくだらない。
事務職がサイエンスと無縁な人たちで、動員数とか「面白おかしく」とかいうことしか考えてない。で、人がたくさん来れば成功と評価されますから、それだけにご執心。
「バカバカしいから何とかしてくれ」と音を上げたのは私たちより先にノーベル賞受賞者の科学者たちでした。