紙の上に書かれた文字を鵜呑みにして、その通りの「正解」とされるものを書いたら丸がつく。それで優等生・・・といったことが、いかに愚かしいものであるか。
これを子供に分かってもらうのは、なかなか容易なことではありません。何しろ、少なからざる割合の子供が、その手の経験で味を占めてしまっている。
もっと言えば、そのまま教師になっている先生だっていることでしょう。
しかし、残念ながら、そういうところからは新しいイノベーションは出てこない。文系だって同様です。公務員などを例に考えれば、前例のない事態に対して、対処のしようがないという役人を量産してしまう。
東日本大震災、それに続く福島第一原発事故直後、津波であれ放射能であれ「予測を超えた事態」に対して、政府はもとより県や市がどのように対処したか――。
それらはどれほど迅速であったか。同じことは電力会社にも言えるでしょう。想定外の自体に即応するシフトがすぐに組めたと言えるだろうか?
米国はこの事態に対して、直ちにヘリコプターを網羅的に飛ばし、地表温度を測るなど、基礎的な物理測定を行いました。
これを指揮したのはバラク・オバマ政権でエネルギー長官の任にあったスティーヴン・チュー氏、1997年にノーベル物理学賞を受賞した華僑系米国人の科学者です。
チューさんとは2005年、国連世界物理年の幹事をしていたとき一緒に仕事したことがあります。非常に切れ味の鋭い言動をされる人です。
世の中でノーベル賞学者と言うと誰でも切れ者と思うかもしれませんが、そんなことは全くありません。むしろゆっくりものを考える人が少なくない。