「闇の中に光」、英女王のクリスマスメッセージ 難民の窮状にも言及

クリスマスメッセージを伝える英国のエリザベス女王(2015年12月10日)〔AFPBB News

 昨年末も押し迫った30日、ありがたいエールを頂きました。哲学者の鷲田清一さんが朝日新聞に連載している「折々のことば」で私の『「聴能力!」』の中から一文を引いてくださったのです。

 引用していただいた部分を、再度引用してみます。

 「自分自身の声をワンバウンドで聴きながらプレゼンテーションする習慣、心の余裕を持つことが大切です」

 内外の歴史上の人物の著書も並ぶなか、上梓したばかりの拙著から引いていただき、面映い気持ちもあるのですが、正味このように思っています。

 実はこの一文にはいろいろな背景が隠れているのですが、鷲田さんはサラリと洒脱にまとめられ、かつ漏れるところがない。

 いろいろな意味で「禁じ手」だらけと思うのですが、上の一文を巡って少し楽屋裏・・・それも『「聴能力!」』には書かなかった部分について、お話してみたいと思います。

なぜ演壇に「フタ」がついているのか?

 1枚の写真からお話を始めてみましょう。

 見るからに「教会堂」という風景、ドイツ南部、ヴュルテンベルクの小さな町カルフ(正確にはその郊外ヒルザウ)にある「マリーエン・カペレ」というお堂の中で撮った写真です。

 カルフは小さな田舎町ですが、小説家へルマン・ヘッセの故郷としても知られる土地、かつこのような古い小さな教会がたくさんあることでも知られます。

 この写真は3年前、ロマネスク様式で建てられた古い教会内での歌声や説教の響きを調べていたときに撮ったものですが、向かって右側についている「演壇」に注目してほしいのです。

 演壇の上に、とんがり屋根のような「ふた」がついているのが目に入るでしょう。いったいこれは何なのか?