北海道帯広市から南におよそ60キロに位置する「大樹町」。
人口6000人弱の町にある道の駅には、一風変わったお土産が売られている。お土産の名前は「スペースチーズ」。なんと、チーズを宇宙食のようにフリーズドライ加工したもの、いわば「ご当地宇宙食」だ。
ご当地宇宙食であるスペースチーズはなぜ大樹町で生まれたのか。
宇宙のまちからご当地グルメを
実は、大樹町は1987年に「航空宇宙産業基地」の候補地に選ばれている。それ以降、官民一体となって「宇宙のまちづくり」を進めている。
宇宙のまちづくりの象徴とも言えるのが、町内にある多目的航空公園だ。1000メートルの滑走路があり、研究機関や民間企業が航空宇宙事業関連の実験を行っている。
例えば、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は公園内に実験場を作り、小型無人機の飛行実験や、大気球を使った大気の観測などを行っている。
また、元ライブドア社長の堀江貴文氏が携わるロケット開発会社「インターステラテクノロジズ」の開発するロケットの実験も、この多目的航空公園近隣で行われている。
現在の滑走路の距離は1000メートルだが、将来的には4000メートルにまで伸ばす構想もある。さらに、ロケット射場の誘致にも積極的に取り組んでおり、日本初のスペースポート(宇宙港)を目指している。
「宇宙のまちづくり」をさらに進めるためには、多くの人に大樹町という名前を知ってもらうことも必要だ。そのための方法として、お土産を含むご当地グルメを開発しようということになったのである。B級グルメが注目される最近では自然な流れといえるだろう。