アリアン5打ち上げ成功、通信衛星2基を軌道投入

仏領ギアナのクールー基地から打ち上げられた欧州宇宙機関のロケット「アリアン5」〔AFPBB News

 米フェイスブックは10月5日、フランスの通信衛星運営企業ユーテルサット・コミュニケーションズと提携し、アフリカ地域のインターネット接続環境を拡大するため、人工衛星を打ち上げると発表した。

はるか上空から通信環境を提供

 フェイスブックはユーテルサットと協力し、人工衛星「AMOS-6」を来年打ち上げる予定。来年後半にはサブサハラアフリカと呼ばれる、サハラ砂漠以南のアフリカ地域にネット接続環境を提供できるようになると同社は見込んでいる。

 この計画は、フェイスブックが中心となって立ち上げた世界のインターネット普及促進を図る取り組み「Internet.org」の一環となる。

 このInternet.orgでは昨年、無人飛行機や通信衛星によるインターネット通信網構築の研究チームを立ち上げており、不可視光線を使って空中をデータ伝送する自由空間光通信(FSO)や、「Aquila」と呼ぶ無人飛行機の研究などを行っている。

 このうちAquilaは、翼幅が「ボーイング737」と同じだが重量はその数百分の1。一度の飛行時間は最大90日で、約1万8000~2万7000メートル上空から辺境に住む人々にネット接続環境を提供する。

 フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は今回、自身のフェイスブックへの投稿で、こうした取り組みについて触れ、「辺境の人々にネット環境を提供することは、従来の通信インフラではしばしば困難で、効率が悪い。だから我々は新たな技術を生み出す必要がある」と述べている。

 フェイスブックは今後、この人工衛星で提供されるインターネットサービスにアフリカの人々がアクセスできるよう、地域の企業と提携するとしている。

 一方のユーテルサットは、英国ロンドンを拠点とする新会社を立ち上げ、アフリカ地域のブロードバンド事業を展開していくという。

50億の人々にインターネットを

 Internet.orgは、フィンランドのノキアやスウェーデンのエリクソン、米クアルコム、韓国サムスン電子などがメンバーとして参加し、2013年に発足した団体。

 「世界のインターネット人口は27億人で、これは全人口から見ればわずか3分の1程度。残りの3分の2を占める約50億人のネット接続環境にない人々が、3分の1の人々と同様の機会を得られるよう支援する」というのがその設立趣意だとInternet.orgは説明していた。