海外メディアの報道によると、米アップルは人工知能(AI)の技術を手がける「ボーカルIQ」という英国の新興企業を買収したという。
コンピューターと自然な会話
アップルはこの会社の技術を、iPhoneなどのモバイル端末で提供している音声アシスタント「Siri」や、開発中の電気自動車(EV)に使う可能性があると、米ウォールストリート・ジャーナルや英フィナンシャル・タイムズなどは伝えている。
これらの報道によると、ボーカルIQは英ケンブリッジ大学の情報工学教授が会長を務め、南アフリカ出身の数学者が最高経営責任者(CEO)を務める会社。
ディープラーニング(深層学習)と呼ばれるAI技術を使い、人間とコンピューターの会話をより自然なものにするソフトウエアを開発している。また音声命令やその文脈を、より正確に理解することを目指した技術の開発も行っているという。
「Siriは単なるおもちゃ」
ウォールストリート・ジャーナルによると、音声認識技術は進歩しつあるものの、コンピューターが人間の意図を一貫して理解し、自然な形で返答するレベルに達するにはまだ長い道のりがあると多くの技術者は考えている。
そうした中、テクノロジー企業は、自動車やロボット、インターネットに接続可能な家庭用機器といった、あらゆる分野で音声命令による制御を実現させたいと考えている。
確かにアップルのSiriは、ユーザーの音声命令を聞き、その内容に応じた適切な答えを返してくれる。しかし、Siriは依然完璧とは言えず、時にはまったくとんちんかんな会話をしたり、発音に違和感があったりする。
米グーグルや米マイクロソフト、米アマゾン・ドットコムにもそれぞれ「Google Now」、「コルタナ(Cortana)」、「アレクサ(Alexa)」といった同様の音声アシスタントがある。
だがフィナンシャル・タイムズによると、これらに共通するのは、あらかじめ用意した想定問答に機能の多くを頼っている点。応じられる音声命令に限界があるのはそのためだという。