同時に、リニューアブル発電プロジェクトの開発にも直接出資しています。
電力の卸売買免許を取得
2010年5月に、ノースダコタ州にある169.5MWの風力発電プロジェクトに対して3880万ドル(35億円)の投資を決定。グーグルは、経済性のあるリニューアブル発電プロジェクトへ、今後も積極的に直接投資するとしています。
リニューアブル発電に投資する一方で、2010年2月に、連邦エネルギー規制機関であるFERC(Federal Energy Regulatory Commission)より、電力の卸売買の免許を取得しました。
この免許取得によって、グーグルは一般の電力会社と同様に、電力卸売市場で電力の売買ができるようになったのです。
つまり、必要であれば、自身に必要な電力を、電力会社から購入するのではなく、自ら市場で調達できるようになったと同時に、自分で発電した電力も自ら市場で販売することができるようになりました。
そして、2010年7月には、アイオワ州の風力発電プロジェクトから114MWの電力を20年間固定価格で購入する長期買電契約を結びました。
電力価格上昇のリスクヘッジとCO2削減する戦略
購入電力は、今年2月に取得した卸売買の免許を使って地元の卸売電力市場で売却する予定としており、グーグルは、この買電契約によって将来の電力価格の上昇リスクをヘッジでき、またCO2も削減できるとしています*17。
クリーンエネルギーベンチャー会社への出資、電力の卸売買の免許の取得、大型リニューアブル発電プロジェクトの開発および長期買電契約といったそれぞれの活動の背後に、グーグルがどの様な野心的なクリーンエネルギー事業戦略を持っているのか?
まだその全体像ははっきり見えませんが、彼らが確実にクリーンエネルギーの世界でその存在感を増していることは事実です。
グーグルがクリーンエネルギーの世界でどこへ向かおうとしているのか。そして着地点がどこにあるのか。今後もグーグルの動向から目が離せません。
*17= Google Strikes Wind-Power Deal, Wall Street Journal
■これまでの連載とこれからの予定(変更の予定あり)
- 第1部 クリーンエネルギーで世界の覇権を取れ!
- 第1章 今のままでは日本は絶対に勝てない
- 第2章 100年に1度のエネルギー産業大転換
- 第2部 クリーンエネルギーの実像
- 第1章 化石燃料より安くせよ、激化する世界競争
- 第2章 ソーラー、風力、バイオの問題点と解決策
- 第3章 IBM、グーグル、インテルなどが続々参戦
- 第4章 エネルギー産業の雄を目指すグーグルの狙い
- 第3部 グローバルビジネス最前線
- 第1章 グローバルビジネス、2つの顔
- 第2章 中国と米国の戦略
- 第3章 ステークホルダーの取り組み
- 第4章 最新エネルギー産業動向のインパクト
- 第4部 クリーンエネルギーと日本
- 第1章 世界のグリーン化は止まらない
- 第2章 日本の戦略
- 第3章 世界競争、待ったなし
あとがき