グーグルという会社

グーグルとGE、クリーンエネルギー共同事業へ

クリーンエネルギーサミットでスピーチするグーグルの担当ディレクター〔AFPBB News

 今回の連載の最後に、IT企業のクリーンエネルギービジネスへの新規参入者の代表として、グーグルの取り組みを紹介します。

 同社は言わずと知れたIT産業の雄ですが、クリーンエネルギー分野でも活発に事業展開しています。ETとITの融合のアプリケーションとして、「PowerMeter」というリアルタイムで家庭での電力消費状況を把握できるシステムを開発中です。

 しかし、グーグルの面白いところは、単なる自身の強みであるITのクリーンエネルギーへの応用にとどまらず、より深く取り組んでいる点です。

 なぜ、グーグルはIT企業なのに、クリーンエネルギーに熱心なのでしょうか?

 1つの理由は、巨大なサーバーを運営する大口電力消費家の立場としての、CO2削減の視点でしょう。

オレゴン州の消費電力の2%をグーグルが消費

 グーグルはどれだけの電力を消費しているか公表していませんが、英紙ガーディアンによると、オレゴン州に開設したデータセンターが2011年にフル稼働すると電力消費が103MW(メガワット、メガは100万)に達するとしています*16

 2005年のオレゴン州全体の電力需要が約5300MWですから、グーグルの当施設だけで州の2%の電力を消費することになります。

 この、大口電力消費者としての立場から、いかにCO2の排出量を削減させるかがグーグルの課題です。同社のカリフォルニアにある本社の屋上に太陽光発電パネルを装備しているのも、その対策の1つでしょう。

 もう1つの理由として考えられるのが、クリーンエネルギー事業を将来有望な事業と見ているのではないでしょうか。

 2007年に、石炭から作られる電力より安いコストで風力やソーラーなどのリニューアブル電力を作って供給することを目標にした「RE<C(Renewable Energy Cheaper Than Coal)」というプログラムを立ち上げ、有望なクリーンクリーンエネルギー技術を持ったベンチャー企業を中心に投資活動を展開しています。

 例えば、風力発電タワーが届かない高度の強い風を特殊デザインの風力システムで捕まえて発電する技術を開発しているベンチャー企業に1500万ドル(13.5億円)、地熱発電関連の技術を持つベンチャー企業に625万ドル(5.6億円)、発電所スケールの大型化、太陽光および太陽熱発電プロジェクトを開発しているベンチャー企業にそれぞれ1000万ドル(9億円)を出資といった具合です。

*16Google's power-hungry data centers, Guardian