2000年以降、韓国の主力産業の1つだった造船産業が深刻な不振に見舞われている (c) Can Stock Photo

 造船産業は2000年以降、半導体と並ぶ韓国の主力産業だった。ところが、急激な業績悪化で、「兆ウォン」台(1円=10ウォン)の赤字企業が続出している。「造船ビッグ3」の1社だった国策銀行傘下の大宇造船は売却の方針が決まった。

 2015年10月29日、韓国の国策銀行とも言える韓国産業銀行(KDB)の副行長(副頭取に相当)が記者会見を開き、大宇造船に対する支援策について説明した。

金融支援の額は4000億円

 当面の資金繰りのためだとして明らかにした支援金額は、何と4兆2000億ウォンにものぼった。4000億円を超える額だ。

 この資金援助がなければ、生き残ることが難しいというのだ。KDBを中心とした金融機関が資金の手当てをすることになった。

 KDBは日本の旧日本興業銀行のような存在で、これまでも韓国の大企業を支援してきた。だが、この日の会見は単なる主取引銀行としての説明ではない。実は、KDBは大宇造船に31.5%を出資する大株主だ。大宇造船は、KDBの子会社なのだ。

 KDBは、この日、早期売却方針も打ち出した。

 大宇造船の経営問題は2015年になって急に表面化した。

2015年に業績が急速に悪化

 大宇造船は、2014年には4711億ウォンの経常黒字だったが、2015年になって突然巨額の赤字が続いている。2015年の1~9月だけで営業赤字の規模は4兆3003億ウォン。年間では赤字額が5兆ウォンを超えることが確実になっている。

 負債額も6月末時点で17兆ウォンを超えた。それどころか、当面の資金繰りに問題も生じ、KDBなどに支援を要請したのだ。

 業績悪化の最大の原因は、もちろん、2008年頃からの世界的な造船不況だ。新規受注が減少して採算が悪化しているうえ、受注競争に勝ち抜くために無理な受注を重ねたことも響いている。発注のキャンセルにも遭っている。