発想力は、イノベーションと創造性(クリエイティビティ)の源泉であり、そしてあらゆる問題解決の現場で必要とされる能力である。このため、さまざまな問題解決に取り組む社会的リーダーには、豊かな発想力が要求される。
では、どうすれば発想力を鍛えることができるだろうか。
常識にとらわれずに発想する方法
まず、発想とはどんなプロセスか考えるために、クイズを出題しよう。
次の単語に続く3文字の単語は何か? 「おこし ○○○」。この段階で正解できる人は少ない。次の3文字が必要だろう。「おこし につけ ○○○」。この段階で正解できればかなり発想力が高い。さらにヒントを出そう。「おこし につけ たきび ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○○○」。残る3×5文字で完結する文章は何だろう?
このクイズは、発想プロセスの3つの特徴をよく表している。第1に、発想とは脳内データベースに記憶されている言葉やアイデアなどの探索過程である(音楽なら音を、絵画なら色や形などの画像要素を探索する)。第2に、手掛かりとなる情報が増えるほど探索は容易になる。第3に、ある探索ルートの設定が、それ以外のルートによる探索を邪魔する。
上記のクイズの場合、「おこし」や「につけ(煮つけ)」という言葉の意味を考えて次の単語を探索する人が多いだろう。どちらも食べ物なので3番目も食べ物だろうと予想して探索すると、正解にはたどり着けない。
「たきび」というヒントが与えられると、脳は食べ物を探索するのをやめて、別ルートで探索を始める。発想力が高い人は、探索ルートが豊富であり、常識にとらわれない探索ルートを選ぶことができるので、はじめから食べ物以外のルートでも探索しているのだ。
ちなみに、このクイズの正解は、童謡「桃太郎」の歌詞である。「おこし につけ たきび だんご ひとつ わたし にくだ さいな」。
紛失物を探すのも発想勝負?
次のクイズは、私自身の経験に基づくものである。