「妖怪ウォッチ」に夢中な、私の娘たち。毎回の放送を欠かさず録画し、何度も見返し、エンディングの「妖怪たいそう」も完璧にマスター。
実際に一緒に見てみると、友情、冒険、闘い、といった少年漫画の王道が、現代風に緩やかに織り込まれていて、意外と世代を超えて楽しめます。そして、何と言っても個性的な妖怪たち。どれも容姿が可愛らしく、フレンドリーな性格でより身近に感じられます。
ところで、妖怪といえば、柳田國男が『遠野物語』を執筆して、はや105年。妖怪たちは私たちの日常の中に溶け込むため、日々、進化しているのかもしれません・・・。
本当にあった山の怖い話
最近、現代版「遠野物語」というべき書籍が発刊されました。
『山怪 山人が語る不思議な話』(田中康弘著、山と渓谷社)。
著者は、「マタギ文化」に造詣が深く、自らも取材を兼ねて山に入るフリーランスのカメラマン田中康弘氏。秋田県の阿仁地方のマタギに密着した『マタギ 矛盾なき労働と食文化』など狩猟に関するルポを中心にした著書が数多くあります。
本書は、山野草が咲き乱れている青い沼が消えた話や、無人のはずの雪洞で叫び声が聞こえてくる話、ライオンのような謎の怪物と対峙した話など、全国各地の猟師の間に伝わる不思議な体験談が集められています。
中でも興味深いのは、狐につままれた話や、迷い道の話など、いくつかの話が、いろいろな地域に同じように伝わっていることです。気候も風土も微妙に違っていても、人智を超えた自然への畏怖は、全国共通なのがよく分かります。日本の社会が、至る所で自然と隣り合わせで成り立ってきた証拠でしょう。