ベンチャー業界が活況を呈している。ライブドア事件、リーマン・ショックで大きく落ち込んだ日本の新規上場数は2009年に底を打ち、その後、着実に増え続けている。国内ベンチャーキャピタルの投資件数・投資額も2009年から増加に転じている(日本ベンチャーエンタープライズセンター「ベンチャービジネスに関する年次報告書」より)。

 しかしその一方で、いわゆる「gumiショック」に見られるように、上場時に株価が高値をつけながらその後暴落し、公開価格を上回らないというケースも後を絶たない(「gumiショック」とは、2014年12月に東証1部に新規上場したモバイルオンラインゲーム会社のgumiが上場直後に業績を大幅に下方修正し、株価が急落した一件)。現在のベンチャー投資の過熱ぶりを「ベンチャーバブル」と評する声も少なくない。

 ベンチャーブームはまだ続くのか。現在のベンチャー投資の実像について、NTTグループのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)であるNTTドコモ・ベンチャーズ Investment&Business Development Senior Directorの安元淳氏に話を聞いた。

起業するなら今がチャンス

──ベンチャー投資、IPOが活発化しています。その背景とは?

安元淳氏(以下、敬称略) 数年前ぐらいから、大企業が自社だけで新規事業を生み出すことの限界に気が付き始め、「ベンチャー企業とコラボレーションして新事業を生み出そう」という取り組みが増えてきました。資金をただ抱えているよりは運用して、事業の拡大につなげていこうと考えるようになってきたのです。

 その流れの中で、企業がファンドを形成したり、CVCを設立するケースが増えてきたということです。ベンチャーにとっては資金を獲得しやすい状況になってきました。

──売り手市場になっているわけですね。