中国企業ながら、創業5年でサンフランシスコ本社を構え、ユーザーの90%以上が欧米のZepp社(ウェアラブルデバイス)。
最後となる7つ目のケーススタディでは、「中国人が中国で創業した会社」の驚くべきグローバル化の秘訣とともに、「中国発イノベーションの潮流」についても考察して参ります。
中国発グローバル企業「Zepp」
これまでの6テーマに亘るケーススタディでは、あくまで「中国市場を主戦場」としつつ、何らかの特徴ある切り口で、大きく飛躍を遂げてきた「現地有力企業」にフォーカスして参りました。
それらのうち、少なくない企業は、中国市場の洗礼を経て得られた「新たなビジネスモデル」を下流市場である東南アジアに、あるいは上流市場である欧米市場にも (リバースイノベーションという形で)輸出しようとしています。
こうしたなか、最後のケーススタディとなる7テーマ目として、あえて取り上げたいのが、「中国企業でありながら、”当初から” グローバル(北米)をターゲットに事業展開」を行っているZepp社です。
ゴルフ・テニス・野球といった、「スポーツ向けのウェアラブルデバイス」を手がけるZepp社は、「中国人が中国で創業した会社」でありながら、設立5年目にしてカルフォルニアに本社を構え、30万人を超えるユーザーのうち90%以上が欧米エリア(中国は1%程度)という驚くべきグローバル化を果たしています。
ビジネスモデルイノベーションに加え、いよいよテクノロジー自体でも、中国が発信地となり得る時代が訪れようとしているのでしょうか?
Zepp社のバックグラウンドとともに、「中国発イノベーションの潮流」とその背景についても、考察して参ります。
ウェアラブルデバイス市場は「グローバル」×「異種格闘技」
DI 板谷:7社目となるケーススタディは、ウェアラブルデバイスのZepp社です。
LC 朴:Zepp社は「中国人が創業した中国企業」でありながら、当初から北米市場をターゲットに事業展開をしている、テクノロジー企業になります。
DI 板谷:中国発のイノベーションが、どのようにして生まれ、どのようにしてグローバル市場に浸透しうるのか? 非常に興味深いケーススタディとなりそうですね。
そこで、まず、Zepp社の立脚する「ウェアラブルデバイス」の市場について、中には馴染みの薄い読者の方もいらっしゃるかと思いますので、簡単に俯瞰してみたいと思います。