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 倒産間際まで追い込まれた中国企業が、どのようにビジネスモデル転換し、圧倒的首位となるまでの規模化と香港上場を成し遂げたのか。

 中国レンタカー企業のZuche(神州租車)を題材に、前編ではまず、正攻法で規模・スピードを追求した同社のアプローチを見て参ります。

 また、後編では、外資企業進出の際におさえるべき「パートナリング・戦略投資のポイント」にまで、考察を加えたいと思います。

倒産間際まで追い込まれた企業が圧倒的業界トップに

 2014年9月に、中国最大のレンタカー企業である神州租車(Zuche)が香港市場に上場を果たしました。

 同社は今でこそ、中国全土66都市/52空港に700店舗を構え、数百万人の個人会員・1万社以上の法人会員を持つにまで成長しています。その車両保有台数は、業界2位〜10位の合計を凌駕する規模を誇っています。

 しかし、そんなZucheも、創業当初のビジネスモデルが立ち上がらず、かつては倒産間際までに追い込まれたこともあったと言います(何を隠そう、DI自身も比較的初期からの投資家でした)。

 そこまで追い込まれた中国企業が、どのようにしてビジネスモデル転換し、中国で圧倒的首位となるまでの規模化を成し遂げたのか。

 正面から規模化戦略を取ろう、という日系企業はそう多くないかもしれませんが、逆に「やるからには、これだけ(他力も借りて)徹底的にリソース投下しないといけない」という1つのオプションを知る上では、参考になる部分もあると思います。

 また、群雄割拠の状態から、5年間の市場成長・成熟フェーズの移行期に

●消え去っていった殆どの企業

●何とか生き残った企業

●投資モデルに切り替えることで果実を得た企業(外資大手のHertz等)

 といった事例研究も行うことで、外資企業としてどう市場に向き合っていくのが良いのかにも考察を加えて参ります。

※ 同社の英文正式名称はCAR(China Auto Rental)だが、今回はブランド/ウェブサイト名のZucheに統一して記載した。