韓国の経済ニュースはここ数日、第一毛織とサムスン物産の合併が成立するのかどうかの話題で持ち切りだ。2015年7月17日の両社の臨時株主総会を前に、合併への賛成、反対両陣営が、法廷闘争を含めた熾烈な争いを繰り広げている。
2015年7月13日。韓国の主要紙に大きな広告が載った。
「サムスン物産株主の皆さまへのお願い」と題したサムスン物産が出した広告だ。
「サムスン物産と第一毛織は7月17日に合併のための株主総会を開催いたします。合併を通してバイオ事業など新しい成長動力を確保しグローバル競争力を持つ韓国を代表する企業として生まれ変わります。しかし、残念ながら、エリオットは株主総会で合併を葬ろうとしています。サムスン物産と第一毛織の未来が妨害を受けてもよいのでしょうか?・・・」
「株主の皆さんは、1株でも私どもに委任してくださりますと、大きな力になります。代表電話にご連絡をいただけますと、当社社員がお伺いさせていただき、委任手続きをお手伝いさせていただきます」
サムスン物産の一般株主に合併案への賛成を求め、委任状を確保するための広告なのだ。
総会に向けた、プロキシーファイト(委任状争奪戦)は、こんな広告が出るほど熾烈になっている。
合併案の行方、エリオット登場で風向き急変
2015年5月26日、第一毛織とサムスン物産は合併を発表した。ともにサムスングループ傘下の上場企業で、当初は、合併にさほど大きな障害があると見る向きはなかった。
風向きが急変したのは、6月4日に、米ヘッジファンドのエリオット・マネジメントがサムスン物産株を7.12%保有していることを公示、併せて合併反対の姿勢を明らかにしたのが契機だった。
【両社の概要】
第一毛織 | 時価総額 | 24兆7050億ウォン (7月12日現在、取引所上場企業5位) |
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売上高 | 5兆1296億ウォン | |
営業利益 | 2134億ウォン | |
サムスン物産 | 時価総額 | 10兆1229億ウォン(同、23位) |
売上高 | 28兆4455億ウォン | |
営業利益 | 6524億ウォン |