日本にすり寄り始めた中国

 2014年11月の北京で開催されたAPECの場で行われた日中首脳会談は、習近平主席のホストとしてあるまじき冷淡な対応にほとんどの日本人は鼻白む思いを抱いた。ところが、今年4月にインドネシアで開催されたバンドン会議60周年の場では、中国側から日本に首脳会談が持ちかけられ、前回と比べればかなり友好的な雰囲気で首脳会談が行われた。

 とはいえ、中国側が用意した会談の場には、北京での会談同様、日中両国の国旗が用意されていなかった。中国国内に向けて、中国は日本に対して決して妥協的な対応をとっているわけではないことをアピールする必要があったのだろう。

 そうした流れの中で、5月下旬、自民党の二階総務会長が観光業界代表団3000名を引き連れ北京を訪問した。異例にも習近平主席が会談に応じ、人民大会堂での「中日友好交流大会」と銘打った晩餐会で習近平主席は40分にわたる演説を行い、日中の民間交流の重要性を訴えた。中国共産党機関紙「人民日報」ほか中国の官製メディアがこれを一面で大々的に報じた。日中関係の修復を図ろうとする中国側の意図が明確になったイベントであった。

 なぜ中国が日本に対する態度を変え、友好ムードを演出しようとするまでになったのか。