日中関係の改善を促す動きが進んでいる。5月23日、北京の人民大会堂で行われた日中友好交流大会では習近平国家主席も出席し、日中関係の雪解けが近いことをうかがわせるものとなった。
振り返れば過去数年間、両国の関係悪化によって多くの日中ビジネスが棚上げにされた。2012年の反日デモ以来、売上げが低迷する日本ブランドも多い。多くの企業が中国でビジネスをする際の政治的リスクを痛感し、「チャイナプラスワン」を唱えるようになった。
だが、ここで空気が変われば、中国市場での巻き返しも不可能ではない。最近は訪日旅行客が急増し、彼らによる“爆買い”もある。いったんは中国市場と距離を置いていたが、これだけ訪日旅行客が日本製品を買うのだから、中国ではもっと売れるはず・・・と考える企業があっても不思議ではない。
安売り合戦で疲弊する家電メーカー
だが、仮に日中関係が改善したとしても、日本企業にとって中国市場の攻略がきわめて困難であることに変わりはない。
例えばテレビ市場。世界の需要は年間で約2.5億台。そのうち中国だけでも4000万台を超える需要がある。それにもかかわらず、近年、日本の家電メーカーは相次いで中国から撤退している。表向きは「人件費の高騰」だが、それだけでは語れない要因がある。
「そもそも中国の量販店で売ってもらえなかった」と、ある日本の家電メーカーの社員は振り返る。