フィリピン大統領「世界が中国に懸念」に中国反発

米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSSI)が運営するウェブサイト「アジア海洋透明性イニシアチブ」に掲載された南沙諸島・ミスチーフ礁の衛星画像。中国の船が浚渫(しゅんせつ)作業中とみられる。フィリピン大統領の「世界が中国に懸念」という言葉に中国は反発している(2015年3月16日撮影、同4月11日提供)〔AFPBB News

 中国の中長期戦略である新シルクロード構想「一帯一路」。その融資をサポートするアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立をめぐり、中国でも激論が交わされている。

 学者や研究者の報告書には「中国の課題克服」をテーマにしたものが目につくようになった。その懸念の1つが「中国のやり方が参加国に受け入れられるかどうか」ということである。

領有権争いからASEAN諸国の目をそらす策略?

 30億人の市場を切り開く陸上と海上の新シルクロード構想は、習近平国家主席が掲げる「中国の夢」を実現する「新しい改革開放政策」とも言われている。アジア、欧州、アフリカ大陸と周辺の海洋が舞台になるが、その核となるのが、新疆ウイグル自治区を拠点とした中国の西方の開発と、東方の南シナ海の海洋開発だ。

 中国が掲げる「21世紀の海上シルクロード」とは、ASEAN(東南アジア諸国連合)の海洋周辺地区の経済や貿易の活発化を目指すものだ。この構想には、言うまでもなく中国主導の新秩序を構築しようという野望が潜んでいる。