中国の習近平国家主席が、日本の観光業界関係者約3000人を前にして対日和解の呼びかけとも思える演説をした。
だが、その言葉の行間には、日本国内で安倍政権への批判をあおるという計算が露骨ににじんでいた。さらに背後には、最近の米国の対中硬化に対応する戦略的な意図も見て取れた。
なにがなんでも「友好」を唱える二階氏
5月23日、北京の人民大会堂で習主席が行った演説は、中国の対日政策の軟化を思わせる内容だった。だがこの種の演説は多角的な解釈が欠かせない。同主席の言葉をよく吟味すると、日本への従来の批判や圧力はまったく緩めておらず、むしろ日本国内の分断を目論んでいることが分かる。
人民大会堂に異様なほど多数の日本人が座って、中国の国家主席の壇上からの言葉に耳を傾ける。それは私にとってデジャブ(既視感)のある光景だった。