「イラン核協議は主要問題で基本合意」──。2015年4月1日付ブルームバーグは、ロシアとイランの外相が4月1日未明にイラン核協議で主要問題に関する合意が成立したことを明らかにしたと報じた(枠組み合意の期限を過ぎた4月2日に入っても交渉は続いており、脱稿時点で交渉の成否は明らかになっていないが、交渉成立を前提に議論を進める)。
今後、技術面での詳細を専門家が調整して6月末までの最終合意につなげていくことになる。イランの支援を受けるイラク軍とISIL(いわゆる「イスラム国」)の戦闘や、サウジアラビア軍などのイエメン空爆など地政学的なリスクが高まる中東情勢にとって朗報である。
しかしこの合意は、OPEC(石油輸出国機構:サウジアラビア、イラン、イラク、クウェートなど12カ国から成る)諸国にとってさらなる難題の発生につながりかねない。原油価格が1バレル当たり50ドル前後で推移する中、米国のシェール企業の増産のペースが鈍化したと胸をなで下ろしている矢先に、今度はOPECの一員であるイランが原油の大増産を始める可能性が出てきたからだ。
イランの原油在庫が国際市場に流れ出す?
イランのザンギャネ石油相は、「イランへの国際的制裁が解除されれば、我が国の原油生産量と輸出量は数カ月以内に日量100万バレルを増えるだろう」と豪語している。イランの原油輸出量は日量250万バレルだったが、2012年に経済制裁を課されたために100~110万バレルに減少していた。よって、以前の水準に戻すだけでも軽く100万バレル以上上乗せできるというわけだ。