米大手エネルギー企業「クイックシルバー・リソーシズ」(以下、「クイックシルバー」)が3月17日、複数の子会社を含め米国連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の申請を行った──。
こう報じたのは経済・金融情報サイトの「ZUU online」(3月20日)である(「米大手エネルギー企業が資金難で破産申請、原油の大幅下落が影響」)。シェールガス・オイル開発を行うクイックシルバーは2014年9月に資産売却を試みたが成功せず、負債総額が23億5000万ドルに膨らんだため、現状のままでは2016年第1四半期にも流動性不足に陥る可能性が高まっているという。
「豊作貧乏」のシェールガス採掘
クイックシルバーと重大な利害関係を有するのは東京ガスである。クイックシルバーと言えば、2011年後半以降、「シェールガス革命の雄」として日本のエネルギー業界の注目の的だった。日本から同社への視察ツアーが相次ぎ、2014年8月には自民党資源・エネルギー戦略調査会(会長は山本拓衆議院議員)の一行も視察に訪れていた。
2013年3月、東京ガスはクイックシルバーから権益の25%を4億8500万ドルで購入した。東京ガスにとっては、東日本大震災以降高騰したLNG価格に対応するため、米国内で安値で取引されているシェールガスをLBG化して2017年に日本に輸出することが悲願であった。そのため購入金額は、当時のクイックシルバーの時価総額を2割近く上回っていた。