歴史に“もしも”は禁物ですが、もしも、当時の英国政府がシェルと石油供給契約を結んでいたら、今のBPは存在していなかったかもしれません。
石油のシェアが77%を超え、天然ガスの本格普及が始まる
話を本題に戻しますと、石油の普及と同時に天然ガスの利用も広がりました。
1970年代に、2度にわたる石油ショックによる原油価格の高騰によって、石油代替エネルギーの気運が高まりました。そこで注目されたのが天然ガスです。
また、天然ガスは燃焼時に排出するCO2量が少なく、化石燃料の中では最もクリーンな特性も需要を押し上げました。
日本でも、1973年に石油が1次エネルギー供給に占めるシェアが77%に達したピーク時から(図2参照)、天然ガスが本格的に普及し始め、石油依存度の低減に貢献してきました。
日本は天然ガス生産地から遠く離れており、パイプライン輸送が経済的に成立しないため、天然ガスをマイナス162℃にいったん冷却することによって液体にして、特殊タンカーで運ぶLNG (Liquefied Natural Gas、液化天然ガス)として、天然ガスを輸入しています。
1969年にアラスカより最初に輸入されて以来、主に発電や都市ガスの燃料・原料として利用され、2007年には約6800万トンのLNGを輸入し、今や日本は世界最大のLNG輸入国となっています。

そして21世紀初頭の今、新しいエネルギー革命が進行中なのです。今回のエネルギー革命は、石油・天然ガスからクリーンエネルギーへの主役交代です。では、今回のエネルギー革命を促している時代背景は何なのでしょうか?
1990年代に入り、地球温暖化問題が世界的にクローズアップされてきました。1992年に環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)が開催され、その中で地球温暖化問題に対する国際的な枠組みを設定した気候変動枠組み条約が採択され、1994年に当条約として発効しました。
そして、気候変動枠組み条約の交渉の最高意思決定機関が、お馴染みの気候変動枠組み条約締約国会議(COP: Conference of the Parties)と呼ばれるものです。