世界の人口は2000年には61億人でしたが、2030年には83億人、2050年には91億人に増加すると予測されています(図9)。特に人口増加が目覚ましいのは、アジアとアフリカです。

アジアとアフリカの2大陸で人口が爆発

 それぞれ2050年まで、15億人、12億人の人口が増え、世界の人口増加分の90%は、この2大陸が寄与すると予想されています。

 先ほど紹介した、近年の非OECD諸国のエネルギー増加トレンドと符合します。人口が増えれば、そこに新たな経済圏が生まれ、消費するエネルギーも必然的に増えることになります。

 地球温暖化という環境への懸念に加え、将来予想される世界人口の膨張、アジアやアフリカへの経済圏の拡張、それに伴い予測される世界的エネルギー需給の逼迫を背景に、“持続可能な低炭素社会”という、新しい社会のあるべき姿への要求が高まってきました。

 従来の20世紀型社会は、環境を犠牲にしながら、先進国中心の大量生産・大量消費を繰り返してきた社会であり、それを支えたエネルギー源が、石炭・石油・天然ガスといった化石燃料でした。

化石燃料の限界

 ご承知の通り化石燃料は、燃やせばCO2を排出しますし、供給量の限られた有限の資源であり、さらに我々は2008年に1バレル145ドルの石油価格を既に経験済みですが、将来の価格上昇も予見されます(化石燃料の特徴については、次章で詳しく紹介します)。

 つまり化石燃料は、残念ながら環境性、持続性の両方とも持ち合わせていないのです。

 “持続可能な低炭素社会”が要求する、環境に負荷を与えないと同時に、今後も予測されるエネルギー需要の増加に持続的に対応できるエネルギー源、この条件を満たすのがクリーンエネルギーなのです。

 21世紀型社会へのパラダイムシフトが進行中である今、それに促される形で、エネルギーも化石燃料からクリーンエネルギーへのシフトが進行中なのです。これが、21世紀の新たなエネルギー革が起きている背景なのです。

 では、21世紀のエネルギーの主役であるクリーンエネルギーとは、どのようなエネルギーなのでしょうか。第2部では、その実像に迫ります。

■これまでの連載とこれからの予定

第1部 クリーンエネルギーで世界の覇権を取れ!
第1章 今のままでは日本は絶対に勝てない
第2章 100年に1度のエネルギー産業大転換
第2部 クリーンエネルギーの実像
第1章 クリーンエネルギーとは?
第2章 産業としての特徴
第3部 グローバルビジネス最前線
第1章 グローバルビジネス、2つの顔
第2章 中国と米国の戦略
第3章 ステークホルダーの取り組み
第4章 最新エネルギー産業動向のインパクト
第4部 クリーンエネルギーと日本
第1章 世界のグリーン化は止まらない
第2章 日本の戦略
第3章 世界競争、待ったなし

あとがき