エネルギーの供給源の主役は、長い年月を経て変化してきました。人間は、もともと木材をそのまま燃やして燃料としていましたが、人間社会の工業化は、人間に化石燃料を開発し利用する術を与えました。
木材から石炭、そして石油へ
木材から化石燃料へエネルギーの主役がシフトしてからも、今度は化石燃料の中で、石炭から石油・天然ガスへと主役交代がありました。米国を例に、1845年から2000年まで155年間のエネルギーの供給源の変遷を見てみましょう(図5)。
このエネルギーの主役交代をエネルギー革命と呼ぶことにします。では、エネルギー革命は、なぜ起きたのでしょうか?
それは、その時々の時代背景がエネルギーの世代交代を誘引したのです。分かりやすいように、エネルギー革命の時代の変遷を概念的に図式化したのが図6です。
18世紀に英国で始まった産業革命によって、製鉄業を中心とした工業化が起こります。同時に生産規模の大型化が進み、エネルギーの需要が大幅に伸びました。
ジェームズ・ワットが引き起こした石炭革命
従来の木材を燃料としていたのでは需要に追い付かなくなり、英国内に豊富にあった石炭が注目され、開発が活発化しました*5。
さらに、ジェームズ・ワットの蒸気機関によって石炭の利用が急速に拡大し、19世紀は石炭の世紀と呼ばれるようになります。つまり、石炭へのエネルギー革命は、産業革命が引き金となったのです。
そして19世紀半ばに、米国ペンシルベニア州で近代的な石油採掘が開始され、ジョン・ロックフェラーが石油精製事業に乗り出します。
彼はスタンダードオイルを創設して、近代石油会社の礎を築きました。余談になりますが、スタンダードオイルは、全米の約90%の石油精製事業をコントロールするまで成長しましたが、1911年に反トラスト法により、34社に分割されました。
そのうち、スタンダードオイル・ニュージャージーとスタンダードオイル・ニューヨークは、それぞれエクソン、モービルに、(両社は1999年に合併してエクソンモービル)、スタンダードオイル・カリフォルニアはシェブロンに、オイルメジャーへと成長を遂げることになります。
*5=ウィキペディア 石炭