「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」は川端康成の「雪国」の冒頭だが、「総選挙を終え2015年を迎えるとそこには陽光が輝いていた」となるのではないだろうか。今回の解散総選挙は、経済と株価に決定的好影響をもたらす可能性がある。

 2005年8月8日に郵政民営化という一点に絞って小泉首相は解散総選挙を表明し、9月11日の投票で小泉政権が圧勝した。この解散を表明してからその年の年末までのわずか4カ月あまりで、株価は4割以上値上がりしたが、今回もそのような劇的な変化が濃厚になってきたと考える。

 それは、この解散総選挙が安倍政権の基盤をさらに強めることが決定的とみられるからだ。今回の解散に対して、政権に批判的なメディアや人々は、大義なき解散と評している。「アベノミクスは失敗した、経済政策を転換するべきだ」、あるいは「集団的自衛権容認も正しくない、安倍政権の近隣外交は失敗した」などという主張がその根拠となっている。となればアベノミクスに対する信任・不信任を問うということは、まさしく批判者にノーという機会を与えるのであるから、大義は十分にあるということは明らかである。

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 そもそも安倍政権の政策は失敗したのであろうか。依然として日銀の量的金融緩和は禁じ手、副作用ばかりが大きく止めるべきだと主張している人々がいる。しからば今から2年前の民主党政権の反成長政策、その結果として株価が4年間も世界最低の水準で低迷していた時代に戻ればいいというのであろうか。安倍政権が誕生してからの2年間で、すでに株価は2倍になり、株式市場の時価総額は270~280兆円から500兆円を超えてきている。国民の株式財産の価値は2倍になったのだ。