「・・・君たち男性諸君には、この簡単なルールを覚えてほしい。『ノー』と言われたら『ノー』なのだ。たとえ彼女が酔っていても、しらふでも、ノーはノーなのだ。彼女が寮の部屋にいようが外にいようが、ノーはノーだ。彼女が最初に『イエス』と言って、その後やっぱり『ノー』に変えても、それはノーなのだ。『ノー』はどんなことがあってもノー。暴行は暴行。レイプはレイプで、それは犯罪なのだ」

 女子大生の5人に1人がレイプされる、という数字は、米司法省が数年前に行った調査から取った数字だ。実際の被害者数は、調査によってばらつきがある。しかし、大学生のレイプ被害者の9割方が、仲間外れになることや、加害者からの報復を恐れて被害を届け出ないという現実を考えると、実際の被害者数は相当数になると考えられている。

 多くの著名人を輩出している優良校のモンタナ州立大学では、生徒に調査をした結果、過去3年でおよそ80件のレイプ事件があったことを突き止めている。しかしオバマ政権が推進する「校内レイプ撲滅運動」が始まり、被害が訴えやすくなった後でも、被害者が実際に訴え出たのは3分の1以下だった。

 大学で起こる性的暴行事件の大多数は、新入生の時期に起きている。初めて親元を離れ、大人の世界に足を踏み入れ、歓迎会やパーティーなどの慣れない場でどうしていいか分からないでいる女性がターゲットとなってしまう。

 前述したモンタナ州立大学で起きたレイプ事件も、やはりほとんどが1年生の最初の12週間以内に発生している。8割近くの被害者はアルコールで酩酊状態にさせられ、襲われている。調査を行った大学では、いずれも同じような結果が出ている。

 どの大学も「特製パンチ」が存在し、その作り方が代々受け継がれているという。アルコールの度数が非常に高いカクテルに、大量の甘味料などを加え飲みやすくする。特製パンチにドラッグが混入される場合もある。特定の被害者を絞り、複数の男子学生が協力して暴行を行うことも珍しくない。かつて日本でも問題になった、大学生集団暴行事件と酷似した内容である。