「米国とその同盟諸国は、金政権を支えてきたと言ってもよいこれまでのソフトな政策を止めて、強硬な封じ込め策へと切り替え、金政権の崩壊を加速させるべきだ。それにはまず金政権の違法な収入源をすべて断ち切ることである。麻薬密輸、貨幣偽造、軍事機材の輸出などを遮断することに加えて、北朝鮮の諸機関が使っている外国の銀行のすべての口座を凍結しなければならない」
「米国によるこの種の制裁強化に関しては、下院外交委員会が5月29日に可決した北朝鮮への制裁についての法案が効果的であり、早急に実際の法律として成立させて、その効用を発揮させるべきだ」
「米国政府は北朝鮮政府の自国民統制を弱くさせるために、『自由アジア・ラジオ』や『ボイス・オブ・アメリカ』の北朝鮮国内向け放送を強化すべきだ」
テリー氏は、「金正恩政権の崩壊、あるいは転覆というのは、非常に可能性が低いように現在は見えるかもしれない。だが、米国などのこれまでの政策は、現実には金政権の寿命を延ばしてきたのだから、それを止めれば崩壊の現実性はそれだけ高まる」と強調していた。
さて、日本は、北朝鮮の金正恩政権との日本人拉致問題解決のための政府間協議を本格化させようとしている。日本にとっての交渉相手である金政権が崩壊するというのは、あくまでも「仮」の話だとしても、真剣に考えることは難しいかもしれない。
しかし北朝鮮問題に対して最大最強のテコを持つ米国側の一角に「金政権崩壊を引き起こせ」という提案が出てきたことは、銘記すべきだろう。なにしろ、常に予断を許さない朝鮮半島情勢の激しいうねりには、あらゆる可能性を考えての対応が必要なのである。