先月、茂木敏充経済産業大臣の声かけのもと開催された「ベンチャー有識者会議」のとりまとめとして、「ベンチャー宣言」が発表された。
同会議の出席者は、WiL共同創業者CEOの伊佐山元氏、早稲田大学ビジネススクール教授の長谷川博和氏ら日本を代表する起業家やベンチャー支援者らであり、「ベンチャー宣言」とは以下の内容だ。
「挑戦する人が少ない」日本のベンチャーの課題
「ベンチャーとは、起業にとどまらず、既存大企業の改革も含めた企業としての新しい取組への挑戦である。次世代を担う企業群を形成し、『新しい力』で経済を再生するために、ベンチャー創造の好循環を実現する」
そして、具体的な目標設定の1つとして、「ヒーローの再認識:挑戦する人になろう、挑戦する人を称えよう」との記載があり、そこに、ジョン・F・ケネディの言葉「Those who dare to fail miserably can achieve greatly(悲惨な失敗を恐れない者は、大成功を収め得る)」が引用されていた。
日本のベンチャーの課題(ベンチャー宣言ChapterIII)として、第一に「挑戦する人が少ない」とあり、その内容は以下だ。
「第一の問題は、起業に挑戦する人材が絶対的に少ないことである。我が国においては、起業が職業の選択肢となっていない。社会全体として、新しいことに挑戦する起業家精神が低調であると言われており、新しい事業での成功者を正当に評価する意識も十分でない。また、経営者人材の不足も課題である。起業とベンチャーの成長には、リスクを適切に判断し、果敢に経営判断を行うための一定の基礎的素養や知識・経験が必要であるが、その能力を持つ人材の絶対量が不足している。」
解決策については、「ベンチャー創造の好循環に向けて」(ChapterIV)において、様々な制度改革・支援策の強化が掲げられている。さらに、「挑戦する人が少ない」という課題に対応する解決策としては「初等教育からの起業家教育の充実」が盛り込まれている。
起業を促す「ツボ」は何か
ところで、そもそも人間はなぜ起業するのだろうか?
起業家や自営業者は、まず、事業機会を発見し、思いついた製品・サービスが本当に売れるかどうかを真剣に考える。自営業をやろうと独立する人間は、思いついた製品・サービスが適正な価格で売れる確率が高そうであれば、そのためのビジネス体制を作って、トライ&エラーで挑戦してみるだろう。