日本人はなぜ「もちもち」が好きなのか

人気の食感と日本の食文化の深い関係

2014.04.04(Fri)佐藤 成美

「もちもち」と「もっちり」がおいしそうな食感上位に

 「もちもち」をうたったドーナツやパンは頻繁に見られるようになった。このごろの流行は「しっとり」や「ふわふわ」よりも「もちもち」だ。

 市場調査などを手がけるBMFTの調査によると、2012年に最も多くの人がおいしそうと感じた食感についての言葉は「もちもち」だった。2013年には「ジューシー」にトップを奪われ2位となったが、2010年からの3年間は1位だった。そのほか「もっちり」も数年間、上位に入っている。

食感系の言葉で「おいしい」と感じる絶対値の高い順ランキング
(参考:BMFT「おいしいを感じる言葉時系列ランキング」をもとに作成。対象者は15~59歳の男女1350人)

 日本語には食感を表す言葉が多く、その言葉も時代によって変化している。農業・食品産業技術総合研究機構・食品総合研究所の早川文代氏が行う日本語の食感表現についての研究によれば、「もちもち」は平成になってから使われるようになった表現で、近年のパンや麺の食感の流行とともに広まったようだ。また、日本語には「ねばねば」「ねっとり」など粘りを表現する言葉が多いという。

 「もちもち」もまた粘り気があることを表す言葉だ。私たちはこれまでの食経験から「もちもち」が大体どんな食感なのかをとらえてイメージしている。しかし、それが具体的にどんな感覚なのかを表すのは難しい。

 食感を研究する明治大学農学部教授の中村卓氏は、「食感は噛んだ時に感じるもので、私たちは噛みごたえで『もちもち』を感じているのです」と言う。「もちもち」は柔らかいけれど、のびて噛み切るには力が入る感覚だ。似た表現の「もっちり」は一噛みで噛み切れるが、「もちもち」は複数回噛んで噛み切れる感覚という。

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