パッと見は西洋風のチョココロネ、
渦巻きの向こうに見えたのは饅頭だった

2014.02.14(Fri)澁川 祐子

 どんどん時代を下っていき、やっと発見できたのが、1939(昭和14)年刊行の『製パン教程』(糧友会編、糧友会)だった。同書の口絵には、あんパン、バターロール、クリームパン、ジャムパンなどの写真と並んで、<チョコレートスネール>と呼ばれるパンが載っている。名前こそ違うが、紛れもなくチョココロネだ。ちなみに「スネール」とは英語で、巻貝を意味する。

 さらに10年後の1949(昭和24)年刊行の『最新各種製パンの秘訣』(締木信太郎著、太洋書院)でも、チョココロネを思わせる記述を見つけた。同書には、あんパン、クリームパン、ジャムパンなどの菓子パン、渦巻きパン(スネーク)は、デンプンを低温で焙焼したものを生地に混ぜると、よい焼き色に仕上がるとコツを書いたうえで、<但し>と付け加えて以下のように記している。

 <コルネツト(円すい形の焼型に巻きつけて焼上後クリームやチョコレートを詰める)は加熱生地を使用すると巻きめがきれ易い>

 まさにチョコレートコロネの説明である。これら2冊の記述を見るに、昭和の初め頃には、少なくともパン業界においては広く認知されていたと推測できる。

 また、興味深いのは<コルネツト>と呼んでいることだ。冒頭の「コロネ」と「コルネ」のどちらが正しいかという問題に戻るが、今でもチョココロネを焼く円錐形の型は、製菓業界で「コルネ型」と呼ぶ。これらのことを併せて考えるに、最初のうちは「コルネ」と呼ばれていたが、それがいつのまにか呼びやすい「コロネ」に変わっていったのではないだろうか。

生地でくるむ製法は日本的

 一般に、明治時代にはあったと言われているチョココロネ。今回調べた限りでは、その起源について確証は得られなかった。だが、1つだけ確かなことがある。それは、チョココロネはまぎれもなく、日本の菓子パンの特徴を受け継いでいるということだ。

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