再生医療とは
再生医療と言うと、京都大学山中伸弥教授のiPS細胞によるノーベル賞受賞が記憶に新しいところである。再生医療とは、一度ヒトの身体の外に取り出した細胞を、体外で培養することによって細胞の質を変化させたり数を増やしたりした後に、ヒトの身体に投与、移植する治療法を言う。
iPS細胞の技術は、あらゆる細胞を作る可能性を有し、治療目的の細胞あるいは臓器を作成する上で大変有用な技術として期待されているのである。
治療に用いる細胞は、自分の身体から採取された細胞である場合(自家細胞)と、他人から採取された細胞である場合(他家細胞)の2種類があり、日本では前者、米国では後者が主流となっている。
再生医療は、難病をはじめとして治療法がない、または治療法の選択肢が乏しい病気において、新たな治療として期待されている。
日本では臓器移植のためのドナー臓器がまだまだ不足しており、将来は、再生医療の技術を用いて移植するための様々な臓器を作成できるのではないかという夢も語られるようになった。
また、心筋梗塞など心臓の筋肉が損傷した患者に対して、幹細胞から作成した「細胞シート」をあてがうことによって、弱くなった心臓のポンプ機能の回復を図るという試みがなされている。
その一方、脳卒中や脊髄損傷など回復不能と考えられてきた疾患において、再生医療が試みられる過程で、臓器再生以外の様々な治療効果の可能性も指摘されるなど、多様な疾患に対する様々な新しい治療方法への応用も検討されるようになっており、今後、大きくまた広く発展することがきたされている医療分野である。