まだ食べられるのに捨ててしまう「食品ロス」。日本では年間500万~800万トンあると言われている。
この食品ロスを減らす動きがにわかに広がりつつある。食品メーカー、卸、小売が連携して、食品ロスの原因になっている流通業界の商慣習を見直そうとしているのだ。国も2012年7月に連絡会議を設置し、関係省庁が連携して食品ロス削減に取り組んでいる。
食品ロスを取り巻く現状や課題を見ながら、私たち消費者ができることについて考えてみたい。
事業者からも家庭からも食品ロス
農林水産省によると、食品廃棄物の約1700万トンのうち、500万~800万トンが食品ロスだという。この量は、日本のコメ収穫量の約850万トン(2012年)とさして変わらない。
この膨大な量はどこから来るのか。外食や小売などの事業者からは300万~400万トン、一般家庭からは200万~400万トンの食品ロスがあると推計されている。事業者からも家庭からも多くの食品ロスが出ているのだ。
なぜ大量の食品ロスが生まれるのか。外食産業では主に食べ残しが食品ロスになる。小売、卸、食品メーカーなど食品事業者では、生鮮食品や惣菜などの売れ残ってしまった商品が廃棄される。また、欠品を防ぐために多めに仕入れた在庫は、賞味期限が迫ればメーカーに返品されたり処分されたりする。形やサイズなどが原因で流通に乗らない規格外品も処分され食品ロスになる。
農水省資料「食品ロスの現状」によると、商品の売れ残りや返品が原因で廃棄された割合は、外食を除く小売、卸、食品メーカーの3業種の合計で約94万トンと推計されるという。
返品について参考になるデータがある。流通関連2団体が設置する「製・配・販連携協議会の返品削減ワーキンググループ」の調査結果報告によると、加工食品について、小売から卸への返品は約431億円、卸からメーカーへの返品は約990億円と見られるという(2011年度)。