「御用聞き」ビジネスに進化する食品移動販売

過疎地、山間地だけでなく都市部でも高まる需要

2013.11.01(Fri)白田 茜

 東京都は衛生面で問題があるとして、2013年4月に「路上弁当販売に係る検討会」を発足させた。問題視しているのは、食中毒などが出たとき販売業者に営業停止などの処分ができないことだ。移動販売車は許可制のため許可を取り消して営業停止にすることもできるが、行商は届け出制のため取り消すことができないからだ。

過疎地や被災地で脚光を浴びる

 一方で、過疎地や被災地では移動販売が脚光を浴びている。供給が不足している地域に生活必需品を販売する役割がある。

 近隣にスーパーマーケットのない中山間地域や、高齢化が進み独居高齢者の割合が高い地域などで移動販売する。自宅から出てくることが難しい高齢者には、自宅の軒先まで行って販売する小型の移動販売車なども登場してきた。

 近年、コンビニエンスストアも移動販売サービスを拡大している。以前「小売も食品も白熱、シニア向け市場最前線を追う」という記事でも触れたが、移動販売サービスを展開しているのは、セブン‐イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートなどだ。

 セブンイレブンでは、地方の買い物が困難なエリアを中心に移動販売サービス「セブンあんしんお届け便」を行っている。2013年7月末時点で、被災地を含む全国で移動販売車による35の“店舗”を展開中だ。

 ローソンは自治体と連携して移動販売を行っている。広島県神石高原町では、第三セクターがローソンを経営し、2台の移動販売車が稼働している。車は町が購入した。移動販売のみならず、地域の高齢者が無事に生活を送っているかの確認なども兼ねている。

 被災地でも移動販売車は活躍している。ローソンは2011年4月、東日本大震災で被害を受けた岩手県陸前高田市内の避難所に、移動販売車「モバイルローソン号」を導入した。弁当、おにぎり、飲料など約100アイテムを輸送している。ファミリーマートも2012年6月に福島県南相馬市で小回りが利く2トントラックで移動販売を開始した。

ご用聞きビジネスの可能性

 高齢化や過疎化が進み、採算が合わなくなった店舗が撤退した地域に移動販売車が生活必需品を販売する現在の状況は、かつての高度成長期の日本を彷彿させる。1960年以降、モータリゼーションが進み移動販売は自動車が主流になった。スーパーマーケット未出店の地方では移動スーパーが食品を販売していたのだ。

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