米インテルは、長らく続いたパソコン市場の低迷がようやく底を打ったと考えているようだ。同社のブライアン・クルザニッチ最高経営責任者(CEO)によると、新興国市場の消費者需要はいまだ停滞しているが、北米や西欧では市場回復の兆候が表れ始めているという。

 同氏がその根拠としているのが15日に発表した7~9月期の決算(PDF)だ。この7~9月期のインテルの売上高は134億8300万ドルで、1年前に比べて0.2%増加した。また純利益は29億5000万ドルで同0.7%減にとどまった。

売上高、前年割れにようやく歯止めがかかったが・・・

インテル、第4四半期の業績見通しを下方修正 タイ洪水で

米カリフォルニア州サンタクララのインテル本社〔AFPBB News

 同社の売上高は1年前から4四半期連続で前年割れが続いていたが、この7~9月期はわずかながらも増加に転じた。

 また減益はこれで7四半期連続となるが、20%台後半というこれまでの減少率から大幅に改善、純利益は1年前の水準に戻った。

 こうして見ると確かに同社業績の落ち込みには歯止めがかかったと言えそうだ。だが、今回の決算を詳しく見ると、主力事業であるパソコン向け半導体製品が回復したとは言い難い状況にある。

 例えば7~9月期のパソコン向け半導体事業の売上高は83億8700万ドルで、1年前から3.5%減少した。これに対し、サーバー向けプロセッサーなどデータセンター向け半導体事業の売上高は同12.2%増の29億1200万ドル。データセンター向け事業の規模はパソコン向け事業の3分の1程度。だがこの7~9月期は同事業がパソコン事業の落ち込みを補った。

 営業利益を見ても、パソコン事業が同2.6%減少したのに対しデータセンター事業は同15.8%増。また製品の出荷個数はパソコン向けが同4%減、データセンター向けが同5%増と対照的。平均販売価格もパソコン向けが同1%増だったのに対し、データセンター向けは同8%増と大きく上昇している。