フィリピンで活躍する若き日本の起業家を何回にもわたって紹介してきたが、近いうちに再開することをお約束しつつ今回でこのシリーズはとりあえずの最終回にしたい。とりを務めてもらうのは、山本隆生さん47歳である。

セブ島の生き字引は真っ黒な肌に金髪

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 セブ島にやって来たのは7年ほど前で、大ベテランというわけではない。しかし、今やセブ島で山本さんのことを知らない日本人はまずいないと言っていいほどの有名人だ。

 その理由は山本さんの生き字引ぶりにある。困ったことがあれば山本さんに聞け――。

 どんな形態にせよ、セブ島でビジネスを始めようという人にとって山本さんは何でも相談に乗ってくれ、とにかく頼りになるという。

 前にセブ島で唯一の日本語情報誌・セブポットが、セブ島にやって来る人にとってバイブルのような存在になっていると書いた。

 この表現を山本さんとの対比で改めると、セブポットは誰しもが読むセブ島の入門書。一方、山本さんの場合は生きた事例つきの専門書といったところだろうか。

 別にセブポットのような情報誌を発行しているわけではない。しかし、ビジネスに必要な情報がどういうわけか自然と山本さんに集まるのである。

 その理由は、彼の人を惹きつけて離さない人間性と、一度会ったら絶対に忘れられないその風貌にある。そして、山本さんと会って話をしただけで虜になってしまう若い人が多いというのもうなずける彼の“華麗な”経歴。

 私が山本さんと初めて会う場所に指定されたのはセブ島最大のショッピングモールにあるコーヒーショップだった。人の行き来が激しい所で初めて会う人を認識できるだろうか?

 そんな懸念は、コーヒーショップへ行ってすぐに消えた。短パン・Tシャツにサンダル履きはセブ島なら正装扱いなのだろうが、真っ黒な顔と肌、太い二の腕に厚い胸板、そして金髪となると、東京都よりも人口が多いと言われる南国の島・セブ島でもまず見かけない。