予想を超える希望者が殺到したため、早期退職金の原資が足りなくなり、退職金に上乗せされる36カ月のプレミア分は、なんと1年後(2013年)の9月に払うことになってしまった(本コラムの「早期退職者募集に社員が殺到、ルネサスに希望はあるか?」)。

 今年は追加の早期退職者3000人を追加募集することになっているが、上乗せされるプレミア分は前回の3分の1の12カ月分に減少するという。早期退職の追加募集がこれで終わるとは限らない。プレミア分の増額はまずあり得ない。次第に減少して最後はゼロになるかもしれない。

 退職をせずに残った社員もつらい。社員数は約4分の1に減少し、今後もさらに減り続けるが、仕事が急に減るわけではない。その結果、残った社員が辞めていった社員の穴埋めをしなければならない。しかし、給料が増えることはほとんど期待できない。

 したがってルネサスの社員にとっては、「辞めるべきか、辞めざるべきか」という悩ましい状態が続くことになる。

早期退職者の内訳から見るルネサスの内部事情

 2012年早期退職した約7500人の内訳が、ルネサス関連労働者懇談会(ルネサス懇)に掲載されていた。ルネサス懇に掲載されていたのは、事業所・工場、早期退職者前概算人数、早期退職者数、割合(%)である。これに、事業所・工場の旧所属会社などを私が追記した(表1)。

表1 ルネサス エレクトロニクスの事業所別の早期退職者
(出所:ルネサス懇をもとに筆者作成)

 早期退職者数やその割合は、事業所・工場によって大きくバラついているように見える。そこで、(1)部門別の早期退職者数および割合、(2)旧所属別早期退職者数および割合を図にしてみた。すると、ある傾向が見えてきた。