今回も新しく始まった連載についてお送りしたい。最初は内科医であり東京大学医科学研究所・がん研究会がん研究所で客員研究員を務める谷本哲也さんの連載「徒然薬」。世界で最も薬が好きな民俗かと思われる日本人にとっての薬について、つれづれなるままに専門家の立場から厳しくチェックしようという企画である。
iPS細胞による再生医療、国民そっちのけで利権化目論む厚労省
第1回「厚労省が虎視眈々と狙う『再生医療ムラ』の権益拡大」は、最先端医療と国の規制についての問題提起だ。
行政の特徴として、新しいことに挑戦することは苦手で、できるだけ問題が発生しないようにことなかれ主義に走る。
iPS細胞を使った再生医療は、世界が激しくしのぎを削る。
京都大学の山中伸弥教授がノーベル賞を受賞したことは日本にとっての誇りだが、それはさらに世界最先端を走り続けることで輝きを増す。
しかし、いまの厚生労働省はお役所仕事よろしく、規制強化に走り、新しいことに挑戦させないような仕組みを作ろうとしているという。
谷本さんは、かつて白血病の先端研究に携わってきた経験から、最先端医療の分野ではこうした厚労省による規制を安易に導入すべきではないという。
白血病の治療でも不幸なことに新薬の開発段階ではお亡くなりになる人が続いたそうだ。しかし、あえて死のリスクを冒しても治療に取り組もうとした患者さんと医師のおかげで白血病の治療は飛躍的な進歩を遂げた。
ようやく始まろうとしているiPS細胞を使った再生医療も最初は危険があるのは事実。しかし、だからといってほかに治療法がない患者さんの願いを規制強化で潰してしまうのはいかがなものか、と谷本さんは問う。
再生医療の治験では日本よりも韓国の方が進んでいる。もし厚労省のお役所仕事をそのまま許せば、日本はこの分野で韓国の後塵を拝することになることは間違いない。私たちはその意味でも、厚労省の行政をきちんとチェックする必要がある。
もう1つ紹介したい新連載は元ミス日本、元全日本ダンス選手権ファイナリストである吉野ゆりえさんの「いのちを懸けたブラインドダンス」。熱心な読者の方はすぐにお分かりになると思うが、以前「元ミス日本、ガンとの壮絶すぎる闘い」でご紹介したがんとの壮絶な闘いを続けている方だ。
このときのインタビュー記事はおかげさまで多くの読者の方に読んでいただいたが、私の力不足でお伝えできない大切なことがいっぱい残っている。
また、吉野さんにはご自身の筆で、がんとどのような挑戦をされてきたのかをぜひ書いてほしかったのでお願いした。連載のご愛読をぜひお願いしたい。