2013年2月25日に発足した韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権は、本格的な少子高齢化社会の到来に向けて社会保障制度の拡充を目玉政策に置いている。年金や医療費の支出拡充を打ち出しているが、ではその財源はどうするのか。

 朴槿恵大統領はかねて「増税はしない」と主張している。そこで浮上しているのが「地下経済」の大々的な摘発だが、前途は容易ではない。

父親が達成した「漢江の奇跡」を再び

韓国新大統領就任式を報じる毎日経済新聞「第2の漢江の奇跡 偉大な挑戦をしよう」

 「第2の漢江の奇跡に挑戦しよう」――。2月25日。国会議事堂前の大統領就任式に集まった7万人もの聴衆を前に新大統領はこう繰り返した。

 父親である朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領が達成した超高度経済成長を意味する「漢江の奇跡」。ここしばらく韓国ではあまり耳にしなかった言葉だが、就任式の演説では4回も登場した。

 とはいえ、新政権が「成長一本やり」を志向しているわけではない。むしろ、これまでの政権が経済成長率目標を数字で掲げてきたのに対し、新政権はこうした「目標数値」は打ち出していないのが特徴だ。

 政権発足を目前に控えた2月21日。大統領選挙での公約を土台に新政権の政策の骨格を作っていた「大統領職引き継ぎ委員会」が、48日間の活動内容を「政策5大目標、5大戦略、140細部課題」として発表した。

 200ページを超える報告書は、国政ビジョンを「国民の幸福、希望の新時代」とし、5大目標として「雇用中心の創造経済」「ニーズに合わせた教育・福祉」「創意教育と文化がある生活」「安全と統合の時代」「幸せな統一時代の基盤構築」を掲げた。

政策の要はやはり「社会保障制度の拡充」

 専門家が集まって政策を延々と議論した結果、目標は抽象的な文言になってしまったが、ポイントは選挙戦期間中に打ち出した通り、「社会保障制度の拡充」と言える。

 朴槿恵大統領が選挙期間中に掲げた社会保障関連公約の中で、有権者の関心を最も引いたのは、基礎年金支給と4大重症疾患医療費の全額負担、さらに住宅不動産対策だった。