
2025年4月2日はXデーになる――。そんな不穏な声が一部の金融関係者の間でささやかれていたが、その予感は現実のものとなった。トランプ大統領が発表した相互関税の内容が、市場の想定を上回る厳しいものだったことを受け、世界同時株安が進行。リスクオフの動きが広がるなか、ビットコインも大きく下落し、「今回のバブルは終わった」との悲観的な見方が市場に広がっている。依然として先行きが見通しづらい状況ではあるが、本稿ではビットコイン市場の現状を整理し、今後の動向を探っていく。
(松嶋 真倫:マネックス証券 暗号資産アナリスト)
VIX指数は一時50超にまで上昇
トランプ大統領による相互関税の発表を受け、市場では米国経済の先行きに対する不安が急速に高まり、リスクオフの動きが一気に加速した。恐怖指数(VIX)は一時50を上回り、新型コロナウイルスの世界的流行以来となる水準に達している。
この動揺を受け、米国の主要株価指数は軒並み大幅安となり、時価総額にして200兆円超が短期間で失われる事態となった。下落の波は日本市場にも及び、日経平均株価は一時3000円近く下落し、過去3番目となる下落幅を記録した。
暗号資産市場も同様にリスク回避の売りが強まり、ビットコインは一時10%を超える下落となった。アルトコインはさらに大きな調整に見舞われ、比較的ボラティリティの低いビットコインに資金を退避させる動きが強まったことで、ビットコインのドミナンス(暗号資産市場全体に占める時価総額の割合)は64%付近まで急上昇した。
市場全体に激震が走る中、主要な金融指標はどう推移したか。日経平均、S&P500、金(ゴールド)、ドイツ株(DAX)、そしてビットコインのパフォーマンスは次のグラフの通りだ。