ドイツニュースダイジェスト 18 Januar 2013 Nr.946
会社員のAさん。ある朝起きてみたら、喉が痛い。体温計で測ってみたら熱がある。会社の上司に電話をかけ、風邪をひいたので会社を休みたいとお伺いを立てる。
後日出社した際に、病気で休んだ日の有給休暇申請書を書く。日本では当たり前のようなこの流れが、ドイツではどうやら違うらしい。ドイツの有給休暇と病欠についてみてみよう。
日本は有給休暇消化率ワースト1位
昨年の11月、日本人にとって不名誉なアンケート結果が発表された。オンライン旅行予約サイト「Expedia」を運営するエクスぺディアジャパンの世界の有給休暇に関する調査によると、2012年の日本人の有給消化率は前年に引き続きワースト1位だった。
この調査結果に心当たりがある人も多いのではないだろうか。というのも、日本の有給消化率(取得率)の低さは以前から続いている傾向であり、政府系機関の調査を見ても、先進諸国の中で日本がワースト1位であることに変わりはない。
ドイツと日本の有給休暇日数
日本の年次有給休暇は半年勤務すると10日発生し、その後1年勤務する毎に1~2日増え、最高20日である。
ドイツでは、新入社員には24日の有給が発生(フルタイムで週6日就業の場合)する。その後は勤める企業、勤続年数、契約の内容によって変わってくるが、平均して30日の年次有給休暇がある。
週6日働くとすると5週間分に当たる。有給の取得には上司の許可が必要だが、3~4週間の連続した休暇を取ることも、ドイツでは珍しくない。
年末になると人事部から通知を送り、有給を消化するよう促す会社もある。ドイツの法律では、企業は有給を翌年に繰り越すことを認めなくてもよい。そのため、従業員はその年のうちに有給を使い切ることが多い。
前述の有給休暇に関する調査によると、日本の年間の平均有給日数は13日で、その内取得日数が5日となっている。これを見る限り、日本では病気になった時にのみ有給休暇を使っているのではないかと推測される。
ドイツの病欠
ドイツの場合、病欠は有給休暇日数から差し引かれない。隣国フランスやスイスなども同様である。ドイツ人に理由を尋ねてみたところ、「病気になるのは従業員のせいではないため」ということだ。病気になるのは自分の体調管理が悪いからと考える日本との考え方の違いに驚かされる。
ドイツでは、病気やけがで就労できない状態になった場合は、上司や雇用主にその旨を連絡する。そして、医師に就労不能証明書(Arbeitsunfahigkeitsbescheinigung)を書いてもらう。