インターネットでの選挙運動を全面解禁する動きが日々活発化し、このままいくと今夏の参院選からネット選挙が実現する見通しだ。
この動きの中、いままでフェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアに参加していなかった政治家のアカウントが急速に増えている。これが実現されると、企業同様、多くの政治家が個人のアカウントやフェイスブックページなどを通じて投稿を行い、選挙運動を繰り広げることになるだろう。いよいよ、「政治、選挙のソーシャル化」が加速する。
ソーシャルメディア上で巨大な存在感を示すアップルは何をしているのか
これも「ソーシャル化する社会」の象徴的現象の1つだが、ここで強調しておきたいことがある。
それは、ソーシャル化とは、“すなわちソーシャルメディアにアカウントを持ち、投稿を行うことではない”ということだ。
例えば、ソーシャルメディアのアカウントで自ら積極的な投稿をすることなく、ソーシャルメディア上でたくさん話題にされている代表例としてしばしば挙げられるのがアップルだ。
同社は以前よりソーシャルメディアで自主的な情報発信をすることや、販促活用することを控えている。実はフェイスブックページ自体は存在するのだが、いまのところ投稿された形跡がない。
しかしそれでも、現時点で865万人超のいいね!が押されている。特に昨年の2月にこの数が急増(約140万人)しているのだが、これは当時の新iPadの告知に関し、何らかの情報をフェイスブックページに期待したファンが押し寄せたからではないかと考えられる。そして、それ以降もこのページにいいね!を押すファンが増え続けている。
アップルは、大量のファンを抱えたまま不気味なくらいこのページで一言も語らず、フェイスブックの中に悠然と佇んでいる。
それでも多くのファンをそこへ集め、個々のファンがソーシャルメディア上でアップルの製品について語り続ける構図は、ソーシャル化が“すなわちソーシャルメディアにアカウントを持ち、投稿を行うことではない”ことを物語っている。
そして、それが成り立つ理由は「どんなマーケティングでも、駄作をヒットさせることはできない」というスティーブ・ジョブズが残した言葉の中に込められている(参照:当連載第5回「駄作には残酷なソーシャルメディア時代」)。